2012年4月20日金曜日

プロフェッショナル 言葉のチカラSP part2





▼経営者、星野佳路(よしはる)

「リゾート再生請負人」と呼ばれる。

星野リゾートでは会議で若いスタッフが積極的に発言している。
星野が大事にしているのは社員のモチベーションだ。

大学時代アイスホッケーに打ち込んでいた。
中学から経験者の星野は率先してハードな練習に取り組み、
他の部員にも同じように厳しく求めていた。
チームには経験者が少なく、ハードな練習について来れない。
試合でミスがあると練習量が足りないと叱り
雰囲気が悪くなる一方だった。
そのころ、星野が監督に呼ばれた。
「日頃からチームの雰囲気を壊すな」と言われていた。
また怒られるのではと思いながらも監督のもとに行くと

「お前が考える七割で良しとして、褒めてやれ」

何を言ってるんだと心の中では反発した。
体育会の世界は監督の指示は絶対、渋々実践し始めた。
シュートを外した選手をけなさずにグッと我慢した。
声の出ていない部員が声を出せば、よしいいぞと励ます。
次第にきつい練習に取り組む人間が増え、
チームの成績も上向き、所属リーグでの優勝も果たした。


その後、経営者として。ほめる側の材料を無理やり探した。
リーダーの心構えを教えてくれた言葉として、胸に刻んだ。




▼靴職人、山口千尋(51)

大切に履けば50年保つといわれる
1足10万円のオーダーメイド革靴を作る。

イギリスに留学したときの話だ。
両親の猛反対を受けながら英会話の勉強。
25歳のときに上司に相談すると、
退職でなく一年間の休職にしたらとアドバイスを受ける。

しかし、休職のばあい期間は一年に限定される、
その期間内に果たして納得いくまで学べるか。

尊敬する上司に相談すると即座に「辞めればいいじゃないか」と。
「勉強が終わるまで帰ってくるな」と休職ではなく辞職を勧められた。
そこで、急に後戻りできないプレッシャーを感じた。

「得るは捨つるにあり」

イギリスに渡り革靴学校に。
やるしかない。
他の生徒の五倍つくった。
捨てたものの大きさを分かったので、
何を捨ててきたかを自覚すればよい。




▼プロデューサー、鈴木敏夫

どうにかなることは、どうにかなる。
どうにもならんことは、どうにもならん。



▼樹木医、塚本こなみ


人生は一本の線ではない
一日という点が連続して
一本の線になる

この治療を一年やるとなれば、気が重いが、
一日一日木と向かい、
今日もよろしくお願いしますという気持ちで取り組む。





▼獣医師、斎藤慶輔

ハンターは安価な鉛の玉を使うと、動物は鉛中毒になる。
ロシアに渡り、鉛の使用を調べた。

「決まった道はない、ただ行き先があるだけだ。」

オオワシを救う目的のために自分ができることを模索した。
小学校などの講演活動を通じて、市民に話をした。
あるハンターから電話があった。
「息子に聞いたが、無毒の玉とは何だ教えてよ先生」。

そもそも道なんてないんだというところに立ち返ると、
リラックスして取り組むことができる。





▼建築家、隈健吾(57)

東京根津美術館
人生のドン底で出会ったひとつの言葉。
建築とはこういうものだという妄想を打ち砕いてくれた。

「自分の場所に誇りをもつ人間が好きだ」



意味ははっきり分からないが気になる言葉だった。
バブル景気の真っ只中。
車のショールームを斬新なデザインで建築。
「景観を損なう、金にまかせて遊んだ不真面目建設」と批判された。
バブル崩壊後、一年間全く仕事がなかった。

特徴のない田舎町からの依頼。
公民館を作ってほしい。
美しい棚田と杉林。町の人々は杉に対する愛着が強い。

リンカーンの言っていた言葉、
自分のplaceに誇りをもつ人達は、
この町の人達かもしれない。

同じ杉が違うものに思えてきた。緊張する。
二年後に完成した建物、
施設の前には棚田をモチーフにした池、
杉をふんだんに使った建物、
現代的だけどこの町に合っていると言われた。

どんな仕事をするときにも、
自分の場所に誇りをもつ人が好きだ、
この言葉を思い出すようにしている。

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