2012年4月3日火曜日

橘玲 たちばなあきら 「貧乏はお金持ち」 → 仕事に対する心構え




橘玲『貧乏はお金持ち』 ★★☆☆☆


▼簡単にレビュー

まず、流し読みでの感想は、「思っていたものと違ってがっかりした」です。

『貧乏はお金持ち』の前に『残酷な世界の中で生き残るたったひとつの方法』を読みました。この本の中で様々な学説が紹介されており、「現実とはこうも厳しいんだよ」と唱えられていました。そして、次に出版する本で、「その厳しさからの抜け道を教えましょう」とあとがきが書いてあったので期待してました。

厳しい現実社会から抜けだす方法が、具体的に効果のある方法で書かれていると思っていました。『残酷な~』が非常に面白かっただけに期待が膨らんでしまった。




橘玲『残酷な世界の中で生き残るたったひとつの方法』 ★★★★☆



もちろん、文中にもことわりが書いてあり、「これが現実だ、生きる術はそれぞれが自分で見つけるべき、それほどこの世界は残酷だ」と、甘えた気持ちを一掃します。『残酷な~』の現実主義をそのまま引き継いでいるように感じました。
言いたいことが一貫している潔ささえ感じます。


▼橘の略歴

橘のいままでに書いた本のリストをみていると、彼は金融畑の出身で、ダイヤモンドザイから出版があるようです。


ファイナンスは、勉強すればするほど身につく分野です。
自分の力量を過信さえしなければ着実に成長が見込めるようにも思います。
『貧乏はお金持ち』で書かれているファイナンスリテラシーも、
税金の納め方を学んで、マイクロ法人を立ち上げて、
納税を上手に行おう!という内容です。


お金の稼ぎ方と使い方、貯蓄と投資の方法。
このあたりは惹かれます。


実際、「ベトナムにいって定期預金口座を開きたい」と朝から妄想する始末。
年率は13%で、とても魅力。
300万円くらいの余剰金があれば…と考えてしまいました。
リスクについて考えてみますと、

  1. 語学力のリスク。窓口が日本語対応しているか
  2. 解約時のリスク。定期満了時の解約がスムーズに行えるか
  3. 送金時のリスク。海外送金の際に税の申告が必要か
 以前、金融コンサルタント会社にいるとき
ベトナム証券会社の口座開設の経験はありますが、
すべてを「自分でやった」とはとてもじゃないが言えません。
「したことある」ことと「説明できるほどに知っている」ことには、
雲泥の差があることを痛感します。



▼仕事に対する姿勢

話はそれますが
「石の上にも三年」という話がありますね。
どんな仕事でも3年くらいは必死にやってみて
それで身につくことは決して少なくはありません。

つまり、仕事であってもスポーツや習い事であっても、
3年必死にやればある程度の技量は身につくものです。
そして、その技量が次のステップの踏み台となります。


自分の過去が悔やまれます。
3年というのはただの目安だとしても、
技量が身に付いたと思うまでやらなければいけません。

過去の過ちに気付けば、いまの仕事への取り組み方も変わるということで
いまの仕事を向こう三年真剣にすれば、見える世界も変わってくるはずです。


キャリアコンサルタントの方も
仕事の相談にのってくださった先輩の義兄さんも
「いまの仕事を続けることが大事」と言っていました。

フラフラと転職を繰り返すのではなく
一貫性をもって何かに取り組めば成功する!
そのような姿勢が大事なのかもしれません。





▼メモ

『残酷な世界の中で生き残るたったひとつの方法』にて
学説や参考文献として出ていた用語の中で
面白いと思ったものをメモしています。

マイケルムーア『SICKO』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%B3

アダムスミス『国富論』の「見えざる手」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A6%8B%E3%81%88%E3%81%96%E3%82%8B%E6%89%8B 

フレデリック・ロス・ジョンソン、RJRナビスコ
http://ameblo.jp/yasromance/day-20101201.html

中内功、ダイエー創業者
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%86%85%E5%8A%9F







▼レビュー
『残酷な世界の中で生き残るたったひとつの方法』

意外とこのブログ記事を読んで頂いているようですので
本のレビューも書きたいと思います。
(クリックがあると更新するタイプのブログです)


タイトルには『貧乏はお金持ち』 とありますが、
これまで書いた内容から分かるかと思いますが
『残酷な世界の中で生き残るたったひとつの方法』で
衝撃を受けた箇所が多かったので、そちらの感想を。


自己啓発を継続的に行うことで自己を高めるのが良いと
人間的な成長を促す勝間和代と
そこまですると精神を病んでしまわないかと
警鐘を鳴らす精神科医師の香山リカ
この二人の自己啓発論争を客観的な立場から見て
遺伝的観点から「やればできる」を否定する著者。
どちらの意見にも賛同するわけではなく
現実とは残酷なものだと、いくつもの学説を紹介しながら論じる。

今の社会では批評家が溢れていて、
意見をぶつけ合い、決して交わらずに持論を述べまくる
そんな状況をよく見かけます。
議論が白熱すれば注目が集まります。
まるで炎上マーケティングのように、
わざとしているかに見えて当人同士は至って真面目。

燃え盛って喧嘩をしているような二人に
第三者があくまでも頭は冷静に、反論だけを述べて否定する。
これが痛快です。

2010年に書かれた内容なのでネタは古く、新鮮味はありませんが
「人の能力は遺伝子レベルで決定している」ことについての説明は
変に納得してしまいます。
心理学、経済学、脳科学、進化論、と様々な学説を用いる面と
映画、ドラマ、アニメから話題になったよく知られている題材をだして
解説していく点がとても面白い。

「AとBを否定して、Cを唱える」といった構造になっていれば
この本は誰にでも勧めるに値する満点の本なのでしょうが、
そこまで伝えたいことがあるわけではありません。
言ってしまえば「内容は薄い」です。
最後には、「次に出る本を読んでね」と言わんばかりに
結論を出さずに逃げているかのようにも感じられます・・・。
なので、一冊の本として完成はされていないと思うのですが、
そんな本なんて世の中にごまんとあります。

この本は、内容は薄くとも
あらゆる例えが面白く、知的好奇心を満たされるのです。
「修飾が楽しい、形容詞が美しい」に似た喜び。



褒めているのか貶しているのか分からなくなりますが、
自分がこれほど面白いと思ったのには訳がありまして。


啓蒙書ですと、著者の考えを読者に伝え、
「なのでこうしていきましょう」「こうするべきです」と
持論を押しつけてくるのでしょうが、
著者は自己啓発を否定している立場なので、そうは書きません。
なので、読後がむず痒い。

簡単に説明してしまえば、この本では
「人には得手不得手があるのだから、
自分の得意なこと好きなことをやるべきです」
という風に捉えられるのです。
答えなんてありません。
自分のことは自分で考えないといけないのです。
それが現代社会の厳しさだと遠まわしに教えてくれます。


情報社会ではマクロな視点の考え方は
ネットでも本でもどこからでも得ることができます。
しかし、自分探しは自分にしかできない、
いまや大切なのはマクロではなくミクロ
社会ではなく自分自身です。
そう教えてくれているような気がします。

まあ、今に限ったことではなく、昔からそうなんでしょうが
ここまで男らしく突き放してくれるのは、潔くて気持ちがいい。
この本の好き嫌いが分かれるのは、そんなところだと思います。


例えはよくありませんが、2012年12月の衆議院議員選挙。
党の政策は、偏ったものから一般的なものまで
情報が氾濫していて、すぐに手が入ります。
でも、その情報を手に入れて、あなた自身は
自分が思う一票を投じられたでしょうか。

マクロではなくミクロ。
社会ではなく個人。
世界ではなく地域。
組織よりも家族。

どんな言葉を使ってもピンときませんが
自分を見つけることが大切なのかなぁと思います。
その上で、今度は逆に辿ることも大事だと。





これは、次の次の本。
2012年5月の本ですが
一貫してますよね


MBAホルダーが語るノンネイティブへの道
http://mbaenglish.seesaa.net/article/248332386.html

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『10年日記』をつけたい



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