2012年4月1日日曜日

情熱大陸 漫画家「浅野いにお」





漫画家、浅野いにお。

OLを辞めて無職になった女性と
音楽で食べていこうとするバンドマンの物語
『ソラニン』が大ヒットして一躍有名に。

原稿の作成は、浅野いにおと
週3回手伝いにくるアシスタントの2人で描いています。
彼の描写はとても細かく、
背景の細部に至るまで丁寧に描くのが特徴です。

「花火が終わったあとには、
 きちんと花火のあとの静けさが描かれる」
と、番組内でのナレーションが説明してますが
花火の前後の時間を表現する2コマは、とても素敵でした。

本当に、風景が細かく、描かれています。

景色の細かい所まできちんと描く


ある漫画をテーマにした展覧会では
日本を代表する漫画が堂々と並ぶ中で、
浅野のブースにはセリフだけが並んでいます。
まるで詩のよう。
絵がなく言葉だけ。






メールを打ちながら浅野が話します。

「!」の数とか考えちゃうよね。
 どんなタイミングで入れたらフランクなのか

神経質なのか繊細なのか
捉え方によって、浅野の評価が大きく分かれるところですが
小さなところにまで気が回ることが良いとされる社会
この部分を大切にする人が増えているので
うまく受け入れられているのでしょう。

繊細な人なら誰もが感じることを、さらりと言葉にします。
「言語化できる能力」が高いと感じます。





取材のシーンでは、デジカメを持ち歩いて散歩します。
都内の駅やコインパーキングを撮り歩いていきます。
実際の風景をそのまま漫画に使いたいらしく、
彼自身も「真面目なんだよなー」と、つぶやいていました。


学生の取材が来ました。
浅野が女学生達に問います。

浅野
「最近嬉しかったことは何かありますか?」

学生
「服屋の店員が辞めてしまうから手紙を渡したら、
とても喜んでくれて、気持ちが通じたときは嬉しいです」


浅野はそれを聞いてとても違和感を感じたと言います。

自分は一位になりたくて仕方が無い。
安定などなくても一番になりたい欲求が常にある。

彼の一見優しく見える風貌とは裏腹に
負けず嫌いです。





仕事について語るシーンでは、

「仕事してる人って毎日追われてる。
休みのときに色々と考えても答えが出なくて、
それよりも日々仕事をこなしていくほうがいいじゃないですか。」


これを聞きながら思い出したのは
ミスチルの『彩り』の歌詞に考え方が近いということ。

この考え方が「社会」を表しているのでしょうか。
社会を構成する一要素としての立ち位置を表現しています。

一世代前では、親戚の集まりにいくと、酒に酔った叔父さんが
こういうことを教えてくれるものなのですが、
核家族で構成された都市部の現状では
この「社会」について説明する人間が周りに少なくなってしまい、
自分の周り以外を知りたい大人になりきれていない層の人たちが
浅野いにおの言葉を有り難がるのかもしれません。


そして、彼はとても説明がうまいですし、
言葉に過不足がなくて分かりやすい表現をします。

彼自身が感じることを何度も何度も考えて、
説明から言葉を選んで、そぎ落としてそぎ落として、
そうして作られた作品が
心に届くのはあるいは必然なのかもしれません。


ソラニン

「考えること」
これが必要なのかもしれません。

もしかしたら、そんなちっぽけな言葉ではなく

「答えが出るまで考え抜くこと」
これが大切なのかもしれません。





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