The volue of movie: Naomi Kawase at TED×TOKYO
▼TED
私の周りでもTEDが流行りだしています。
TEDカンファレンスは2006年にインターネット動画で世界に公開されてからジワジワと認識されるようになり、2012年にNHKで放送されてから世間で注目を浴びています。SNSでのシェア拡散により去年あたりから話題になっていました。
NHKのスーパープレゼンテーション
▼TED×TOKYO
2009年にはTED×TOKYOも始まり、同時通訳ではなく日本語で聞けることで敷居も下がり、他の作業をしながらでも聞けるプレゼンがたくさんあります。
Youtubeでいくつか視聴していますが、チームラボの猪子さん、プラネッツ編集長の宇野さんのTEDは面白かったです。他にも、ノマドの堀江さんや研究員の茂木さんなど有名人もたくさん出演してます。
Youtubeでいくつか視聴していますが、チームラボの猪子さん、プラネッツ編集長の宇野さんのTEDは面白かったです。他にも、ノマドの堀江さんや研究員の茂木さんなど有名人もたくさん出演してます。
▼そして、河瀬直美のTEDを見た
素晴らしく感動しました。
言葉の選択と話すスピードが自分に合うこともあり、じっくりと内容が入りました。映像の中で、彼女がカメラ目線であたかも私に話しかけたように感じたシーンがいくつかあるのですが、茂木健一郎を見たあとだから余計に心に染みました。本物だなと。
言葉の選択と話すスピードが自分に合うこともあり、じっくりと内容が入りました。映像の中で、彼女がカメラ目線であたかも私に話しかけたように感じたシーンがいくつかあるのですが、茂木健一郎を見たあとだから余計に心に染みました。本物だなと。
感動したものを勧めるのは好きなので、是非とも映像を見て欲しいです。映像を見る時間がないなら、文字起こしをペーストしたのでそれを読んでください。おもしろそうだと感じたなら、彼女の言葉で聞いてもらえればと思います。
▼「映画の価値」 文字起こし
Naomi Kawase at TED×TOKYO
http://youtu.be/XhOtrGDDRRo
13分あります。
お茶でも飲みながらどうぞ。
02:10のところにドキっとしました。
Naomi Kawase at TED×TOKYO
http://youtu.be/XhOtrGDDRRo
13分あります。
お茶でも飲みながらどうぞ。
02:10のところにドキっとしました。
0:05
河瀨直美
0:14
私は 両親を知りません
0:18
私は 年老いた老夫婦に
養女にもらわれて育ちました
0:31
養母と養父なんですけど
私はずっと
0:37
「おじいちゃん」「おばあちゃん」
っていう風に 呼んでました
0:42
おばあちゃんです
0:46
1969年5月30日
私はこの世に生を受けました
0:56
生まれた時に
どうだったかっていうのは
0:59
もう覚えてないんですけど
1:02
でも 大きくなるにしたがって
1:07
「どうして 私は
ここにいるんだろう?」
1:10
「私は 何のために
生まれてきたのかな?」って
1:14
ずっと思ってました
1:17
「私は 生まれなかったかも
しれないな」とか—
1:24
そんなとき 映画が
私の前に やってきたんです
1:34
その カタカタカタって
音を立てて
1:39
自分の目で見たものを
記憶・記録してくれる
1:47
そんな8ミリフィルムが
自分の目の前に現れました
1:56
「なんで私は
ここにいるんだろう?」
2:00
「私は いないほうが
良かったのかな?」
2:05
「私って何なんだろう?」
2:08
ずっと思ってました
2:10
なんで今 私は
ここに立ってるんですか?
2:16
皆さんは どうして そこで
私の話を聞いてるんですか?
2:23
インターネットで私のこと見てる人
なんで今 その時間を費やしてるんですか?
2:31
時間は みんなの元を
同じように
2:36
カチッ カチッて
1秒ずつ過ぎていきます
2:41
もう2度と その時間は
戻ってこない
2:46
なのに この1コマ1コマ刻んでくれる
フィルムっていうのは
2:53
その時間を 巻き戻すことが
出来たんです
2:57
私が このおばあちゃんと
過ごした時間
3:03
その時間は もう2度と
戻ってこない
3:07
なのにフィルムは
それをもう一度そこに
3:13
立ち返らせることができる
3:19
おばあちゃんを
撮った映像です
3:26
おばあちゃんやっぱり
3:29
どう言うたらええの・・・
3:31
おばあちゃん懐かしい?
3:34
おばあちゃん懐かしいていうのか
3:36
やっぱ おばあちゃん好き?
3:38
好いてくれてる? (うん)
3:41
うん? 口には出さんけど? (うん)
3:58
おばあちゃん
3:59
はーい
4:01
何してますか?
4:03
私もとりたい
4:05
豆をとってます
4:07
・・・
4:09
お昼中さかいがな
4:12
ほんま
4:14
豆取らなあかんやないか それも
4:20
この時間は もう2度と
私の前には姿を現しません
4:26
現実には
4:29
でも こうして
永遠に
4:33
皆さんと共有する
ことができる
4:37
「素晴らしいな映画って」
って思いました
4:41
「なんで私に 映画が舞い降りて
きたんだろう?」って思いました
4:46
それは奇跡なんじゃないかなって
4:50
だって もう2度とないと
思ってた時間が
4:54
こうして蘇ってくれる
4:58
「すごいな
タイムマシンかな これは?」
5:02
思いました
5:05
このとき私は
5:08
このおばあちゃんの
映像を撮っている時に
5:13
自分の家の台所から 扉を開けて
おばあちゃんに触れてました
5:18
でもどうしても
その壁を越えて
5:22
本当のおばあちゃんに
触れに行きたかった
5:26
フィルムを片手に
それをしました
5:31
本当のおばあちゃんは
生身の人間で
5:34
あたたかくて
本当に生きて そこにいました
5:43
あの時 このカメラを
回していた自分と
5:50
そこで そのおばあちゃんに
触れていた自分
5:54
ほんとに瞬時の
差なんですけど
5:57
私が2人存在しました
6:01
「主観と客観っていうことなのかな これが」
って思いました
6:09
その感覚を得た私は
6:12
初めてこの映画が
海外で上映された時に
6:19
「ああ 国境がなくなった
6:24
扉が開かれた」
って思いました
6:28
私のおばあちゃんのことを
まったく知らない人たちが
6:34
その人達が
私と一緒に
6:37
おばあちゃんの
畑仕事を見ていてくれている
6:41
「ああ 映像って 海を越えるんだな」
って思いました
6:48
そして「感覚を共にできるんだな」
って思いました
6:53
共にできた感覚ほど
強いものはありません
6:58
なぜならそれは その人達の心の中に
確かに存在するものだから
7:05
そして その存在したものは
7:09
自分が裏切らない限り
必ず繋がっていくからです
7:16
こうして私は 国際映画祭の力を経て
このような感覚に辿り着きました
7:26
映画祭は 映画を見るだけじゃない
7:29
映画祭は 人と人を結ぶ
架け橋になり得るんだ
7:38
「私がどうしてここにいるのかが
わからない」
7:40
そんな風に思っていた
7:42
奈良の田舎の
何も出来ない女の子が
7:46
こうして海を越えて
7:48
そして何でもない
普通のおばあちゃんの映像で
7:53
いろんな人たちと
繋がり始めたんです
7:56
それを もたらしてくれたのが
国際映画祭でした
8:01
私は ふと思い立ちます
8:04
私が海外へ行くのではなくて
海外から日本に人がやってくる
8:12
できれば 自分の故郷
8:16
このおばあちゃんが 私を
育んでくれた 奈良という場所で
8:20
この架け橋を作ることができたら
という風に思いました
8:26
架け橋は とても小さいです
8:30
今は
8:33
そしてまだ 多くの人には
知られていません
8:41
奈良の興福寺という
場所があります
8:45
そこの五重塔の下には
五十二段の階段というのがあります
8:52
そこを私は レッドカーペットに
してみたらどうかなと思いました
8:59
レッドカーペットは カンヌじゃないと
いけないわけではありません
9:03
どこにだってあっていい
9:06
そして そこにレッドカーペットを
作ることが大事なのではなくて
9:13
そこに自分たちがいることを
誇りに思うということが大事なんです
9:19
故郷を誇りに思う
9:21
どんな場所でもない
9:22
外に行くのではなくて
自分の足下の
9:26
そして自分を育んでくれた
この場所で
9:30
それを立ち上げたいと
思いました
9:33
なら国際映画祭の
始まりです
9:38
この映画祭は できれば映画を
上映するだけではなくって
9:43
映画を作ったらどうかな
と思いました
9:48
2010年に
1回目を開催して
9:52
その時グランプリを取った
メキシコ人の監督に
9:56
第2回目の今年
映画を作ってもらい
10:02
それも奈良県で
撮影した映画です
10:06
メキシコから来た
まだ三十代の若い監督が
10:10
奈良県の十津川村という所で
映画を撮りました
10:16
その映画が
奈良で上映され
10:19
また国境を越えて 海を越えて
今地球を周り始めます
10:26
映画祭は 映画を見るだけではなく
人と人を結ぶ
10:31
それから映画を作る
10:35
とてもクリエイティブな場所だと
思っています
10:40
これは奇跡ではないですか?
10:46
私はこの世に生まれた意味がわからずに
ずっと過ごしていました
10:52
なぜだかわからないけど
ここに映画がやってきたんです
10:57
私はその役割を また 新しい人との
繋がりに変えたいと思いました
11:08
「皆さん」っていう風に
呼んでしまうと
11:11
とっても漠然としていて
誰とも繋がれない感じがします
11:16
今日 ここにいる
1人ひとりの名前 呼んでみると
11:22
その人達と繋がれる気がします
11:27
モニターの向こうで見てるかな?
11:30
みつき君とか
11:33
藤沢さんもいるよね?
11:37
平井さんとか
11:39
千春? 美穂?
11:42
みんな元気かな?
11:46
メキシコのペドロも
11:50
スイスのジャン・ペレとか
11:54
いろんな国の
いろんな人たちが
11:56
ちゃんとその人の名前を
呼び合って 繋がり合う
12:00
私はそんな なら国際映画祭を
続けていきたいと思っています
12:07
名前のある あなたと
繋がりたいと思っています
12:13
そして私は この奇跡を
見つめ続けたいと思ってます
12:21
あなたも その奇跡を
一緒に見てください
12:28
最後に 私が
最愛の—
12:34
今年2月10日に亡くなった
12:37
おばあちゃんからもらった
言葉を贈ります
12:46
「この世界は美しい」
12:50
(拍手)
▼河瀬さんの作品紹介
「萌の朱雀」
吉野の山奥、過疎化の進む村が舞台。
親戚に思いを寄せる学生、過疎化の悲しさ。
緑があふれる映像はとてもきれいで、音楽も好み。
「火垂」
ストリッパーと陶芸家の恋。
どぎつい関西弁のまま荒々しく進む。
愛することの苦しさに泣ける。
「沙羅双樹」
ならまちを舞台に、消息不明になった双子の弟を中心に家族を描く。
高校生の制服姿と、汗のにじみまで撮るカメラワークが生々しい。
「もがりの森」
軽度の認知症のグループホームでの介護士のお話。
最高の離婚の 尾野真千子が主演を演じる。
茶畑で鬼ごっこをする年老いた男性が楽しい。
河瀬直美『2つ目の窓』だん。これまでの河瀬作品の集大成だ。舞台を奈良から奄美大島に遷して、死と生の輪廻を描く。スケールが大きくなった。生は性であり、死は詩である。今回はそれが混在し、一体化し、叙情詩となっている。好みもあるんでしょうが、私は素晴らしい作品であると評価します。
— HappyTogether1974 (@Potential_Space) 2014, 8月 9
▼河瀬さんの最新作
そして、いまちょうど映画館で上映されている映画があります。
村上淳と息子が親子共演で話題のあれ。
カンヌでは12分ものスタンディングオベーションがあったとのこと!
劇場で見る人にアドバイスするなら、
河瀬さんの作品は生々しい映像なので気を付けて、です。
映画館では冒頭のシーンで男性が席を立ってました。
前情報いれずに映画を見に来ているおじさんかっこいいぞ。
「2つ目の窓」
http://www.futatsume-no-mado.com/
▼奈良の興福寺
TEDで言っていた奈良の興福寺の52階段
レッドカーペットを敷きたいと言っていた階段ですが
写真を見ると、とても似合いそうです。
奈良に行く際は、こちらのお店もチェックして。
http://underlinedesign.blogspot.jp/2012/05/blog-post_03.html